アベニュージャーナル 2003年 6月号より

ユニオン・スクエアから歩いてすぐのヒルトンホテル内にあるこの『KIKU OF TOKYO』は、本格派日本料理が食べられる数少ないレストランである。今年6月で32周年を迎えるこのお店は、サンフランシスコで人々に親しまれ続け今日でも根強い人気を誇っている。内装は日本風情溢れ、照明は落ち着いていてやわらかい。心から料理を楽しめる暖かい空気をそこに感じることができる。

『KIKU OF TOKYO』の懐石料理には季節を感じる。日本文化のこだわりや長年の伝統にのっとった芸術をその色、形、香りに映しだす。素材はもちろん料理その一品に意味するものを考え抜き、食べる者の感性と身体の調和をより惹きたて、正に本物の料理を体験できる。アメリカにいてもこの日本の味・芸術を楽しむことができるとは、ここに来るまで信じることができなかった人もいたかもしれない。こだわりの懐石は四季折々に合わせて嗜好が変わる。今の季節には、小鉢に和牛のたたきと生うに豆腐から始まり、前菜は青梅・のしうめ・かに団子・唐すみ・穴子月間・かも塩焼き・かに黄身寿司の8種類。鮪と鯛のお造り、そして煮物は鯛のかぶら蒸し。さらに鮎の塩焼きの焼物と、穴子衣揚げの揚物。酢の物は胡瓜・かに・鮭・いか・いくら・花蓮華。御飯物としてにぎり寿司か鰻まぶしから選べ、甘味はくず巻餡の桜花のせ。すべてに日本伝統の真面目さを伺うことができる、本物の日本料理。($48)

一風変わってのディナーには、ゴールデン・コースも用意されている。特別な日をより特別なものにするロブスターの姿焼きとフィレミンヨンの照り焼きのコンビネーション。お造りも付いて贅沢感満点のコースではないだろうか。ロブスターはポン酢で上品に個性的に食べることができる。($55)

この他にも様々なメニューが用意されており、その時の気分に合わせて飽きることない食事を楽しむことができる。お手ごろ価格で上品な日本食を味わえるランチメニューも見逃せない。個人的なランチ/ディナー以外にも、ビジネス・ランチ/ディナーに最適。さらに、サンフランシスコで座敷に座って日本食が食べられるのはここだけではないだろうか。座敷部屋の畳の感触や壁の色、反射する音の響きなどのすべてから、『KIKU OF TOKYO』の「おもてなし」の心を感じとることができる。

記念日や特別な日に美味しい料理を食べに来る。大切なあの人を連れて素敵なディナーへ招待する。『KIKU OF TOKYO』は、和の芸術に心をこめてこだわった日本料理店なのである。